安藤直政夫人、岸本局、ムリ姫、大石定仲夫人、湘南宗化

稲垣重綱の娘の安藤直政夫人がたぬき、飛脚。
岸本五郎兵衛夫人、加藤吉成の娘の岸本局が病人、村人。
鍋島忠直夫人、松平忠明の娘、ムリ姫が病人、村人、飛脚。
松田康定の娘の大石定仲夫人が村人。
山内一豊と山内千代の養子、臨済宗僧の湘南宗化が住職の和尚。

たぬきの医者
(石川県の昔話)

むかし、あるところにたぬきが1匹おりました。
なかなか勝気なたぬきでしたから、人間ができるのに俺様にできないこともなかろうかと言うので,ある日、
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医者に化けて鳳至の加納村に出ました。
身の丈4尺あまり、黒の角頭巾をかぶって、白い下着をまとっていました。
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とある宿へ入ると、ちょうど病人がおりましたから、「どれどれ私がみましょう。」と言って、筆を取り、
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何やらお礼らしいものを書き上げて、病人の腹に貼りました。
不思議にも病気がけろりと治りました。
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このことが、たちまち近くの村々へ広がり、方々から病人がやってきて、たぬきの診察を受けました。
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たぬきはそれから籠に乗って、宿から宿へ旅を続けました。さて、雪も溶け、草や木が生え吹き始めた頃、たぬきは郡境を越えて鹿島郡のホウノ木村へやってまいりました。
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すると、人々は待っていたと言われんばかり、大勢の宿もとへ集まり、我々も、果ては丈夫な者まで診察を願うありがたさだ。
たぬきの得意と言ったら、そのぺったり熱も、天へ届くほどでした。
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「イワシの骨も信心からとは,よくいうたもんだ、足かけは賢そうで、高慢ちきで、思い上がっている人間も、一皮むけば、ああ仏様、どうか助けてください。ちり紙に墨を塗ってそれを腹に当ててもらっただけで、ああ仏様すっかり治りました、ありがとうございました。」
なんて、壁は布ぶとんの中で、クスクス笑っておりました。
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ところが、田屋村長成寺の住職は、この名医に最初から不信を抱いておりました。
そこである日、寺によりあわせを催して、人々を集めて、あれはきつねかたぬきなのか。すぐにも取り巻いて、家殺しした方がいいかも。と言いました。人々が承知しないので、「もし、間違っていたら、私がその罪を全部負おう。」とまでつめよりますと、人々もやっとその気になりました。
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その夜は住職は自ら宿もとへ出向き、密かに、捕まり手の者どもを、めいめいその場所につけました。たぬきはそれとも知らず、スヤスヤと眠っております。
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「それ!」の合図を待って、人々はタヌキを取り囲み、おどりかかって組み伏せようとしましたが、そこには狸といえど、獣のすばこしさ,ひょいと身をひるがえして突破口へ飛び上がりました。
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けれど、前をもって待ち構えていた数人の男たちのために、難なく取り押さえられ、とうとう打ち殺されてしまいました。
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死んでみると、はじめのうち、まだ人間の形でしたが、しまいにはやっぱり本性を現わし、醜い古狸にかえりました。人々もようやく、夢から醒めたように、改めて住職を見直したといいます。そしてたぬきが持っていた、たくさんのお金を、長成寺を寄進いたしました。
ともかく、この話は「一念すればなんとやら」のことわざにある如く、誠に念ずれば獣でも、人間の力を越えるという、良い例でした。
  (おしまい)
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この記事へのコメント

2020年07月03日 13:46
こんにちは

今度は石川県の昔話ですか。
面白いですね。
2020年07月03日 16:58
こんにちは。
石川県人ですが このお話 知りませんでした。
(民話はほとんど知らないかもしれません。)
地名を見て 「あそこにこんなお話があったとは」と思いながら読みました。
でも・・・やっぱり民話は切なくなるお話多いですね。
もともとはタヌキが悪いんですけど sisiさんの描かれたタヌキが可愛いから
ちょっと可哀そうに思っちゃいました。
SISI
2020年07月08日 14:22
トトパパさん、ありがとうございます。
石川県の昔話は、不思議や愉快の面白さを感じます。

にゃーちゃん、ありがとうございます。石川県は、いろんな民話が残っていますね。感動が与えられますね。石川のどこに伝わる話も楽しいです。