宇佐美長元の娘、小場の方、鳥田武通夫人、明智美津、称野原の方、今西春房、今西春光(新春歴史水着クイーンスペシャル31)

明智光秀の娘、今西春房夫人の明智美津、憲兵、村の母さん。
杉元相の娘の鳥田武通夫人が脱走兵、村のばあさん。
小場宗義の娘、戸村義国夫人の小場の方が脱走兵、村の女、トイプードル、ニワトリ。
久貝正俊夫人の宇佐美長元の娘が脱走兵、村の姉さん。
清水景治の娘の称野原の方が巡査、村の男。
摂津今西家36代目の今西春房が、村のじいさん。
今西春房の弟の今西春光が、憲兵。


「炭焼きの脱走兵」
  (群馬県高崎市の昔話)
むかし、第二次世界大戦の終戦になる一年前ぐらいの頃でしたかな。群馬は多野郡の一番奥の上の村に、木枯しが吹き始めた。
山また山の上野村は世の中から置き忘れているような村だったけど、男衆が戦地に取られたり東京から疎開の衆が入ってきたり,村の農家がいつのまにか、軍服や軍の雨合羽のボタン付けする、にわか工場に変わったりして、「やっぱり戦争でたんだな。」って、村に残されたものも、身にされるようになった。
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それでも町のものに比べたら、どんなに呑気でたまにアメリカの飛行機が空の上を飛んでいても、「あれが B 29だ。」「この頃はよく飛ぶね。」というぐらいで怖がることもなく空を眺めた。
村には、山とわずかな畑があるだけで、家もろくに寝てない。アメリカ人たちもこんなところに爆弾落としたりはしない。IMG_20210121_073335.jpg
こんな村に、ある日、騒ぎが持ち上がった。署の巡査と憲兵が7、8人にして村にやってきた。けしばんだ顔からして、ただ事じゃない。「一体何かあったのだ。」と聞きますと、「高崎の連隊を脱走した兵隊が村に逃げ込んでいる、それを捕まえなければならない。」と言ってる。
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村の人たちはびっくりして、連隊の兵隊といえばこれから戦地へ出て、国のために戦わなければならないのに逃げ出すとはもってのほかのことだ。それが、よりにもよって、上野村へ逃げ込むとは、迷惑もはなはだしい村の名前にかけても脱走兵をとっ捕まえれなければならない。
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「山がりするから手の空いてるものはみんな出てきて。」巡査と憲兵は目ん玉を三角にして村の衆を集めました。村の消防団に動員がかかったけど頼みのおやじや若者連中は、あらかた戦争に入ってる消防団といってもじいさん、ばあさん、お母さん、お姉さんのよせ集めでした。
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「脱走兵も命がけだ。捕まれば、軍法会議行きだから、見つかったら、必死の抵抗してくる、よって、発見したら遠まきにして、急報すること、無理をすると怪我のもとだ。」
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憲兵の訓辞を受け、村の衆はとび口や竹槍もって、山がり始めたけど、これが見つかるものではない。なんたって、山深いから至るところに洞穴がある。逃げ場には事欠かないわけでした。
村の衆は、こしべんとうで、山をしらみつぶしにあたっているけど、4、5日たっても見つからず、山がりは、一週間のうえも続いた。
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「もう、よそ村へ逃げたかもしれないぞ。」と、山がりはあきらめました。憲兵も巡査も引き上げて行って、しばらくすると、
「な、何!わしの家だ。軒下の吊し柿がない。」
「うちとこも切り干し芋がない。」
「わしとこも卵5個がない。」
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「卵ならいいが、あんた
村のあちこちでそんな話が、ささやかれだして、後を絶たないようになってしまった

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「みんなあいつの仕業じゃないの,。脱走兵に間違いない。」「村じゅうに泥棒を買っとくようなものだ、切り干しやつるし柿やニワトリ小屋を荒らされるくらいならいいが、これ以上なると、ほっとくわけにはいかない。もう一度、山がりするしかない。」
そういう人もあったけど村の衆の大方は前の山がりは懲りていたし被害も大したことではなかったから、そっとしといた。
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正月過ぎて2月過ぎて脱走兵は捕まらなかったけど3月の中頃だったが峠の道を通りかかった村のじいさんが山の中腹に煙が立っているのを見つけた。
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「あんなところに煙のたつわけがない、ひょっとしたら連隊を逃げ出した兵隊の居所かもしれない。」
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そこは、ひと昔前に掘られたトンネルでしたけど、土砂崩れがひどく片っぽ、ふさがっているものですから、ほったらかしにされていた。
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じいさんの通報で、巡査や憲兵がやってきて、張り込むと・・・・・・。
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次の朝、トンネルの入り口にやせて目ばかり光った。ボウボウなひげ男が現れた。
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巡査や憲兵がとびかかると、男はわめき、棒ふりまわしの暴れたけど、何も食わなかったから、力が尽きて、手錠をはめられてしまった。
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男はやっぱり連隊の脱走兵でした。その時は散々殴られたので戸板にのせられて山を降りたんだが、それから幾日もたたないうちに息を止めました。連隊の取り調べが、よっぽど厳しかった。
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村の衆がトンネルの入り口に入ってみるとトンネルの中に炭焼きがまがあり、炭が入っていた。
「炭を焼いて売りに行けるわけではないし、バカなことをしたもんだ炭を焼いた煙が目について,それで捕まっちゃったんだ。」
脱走兵がどうして炭を焼いたのか村の衆は不思議に思ったけどそのうちにとなり村の木こりだったということがわかった。山仕事の他には何もできない男だったと聞いてやっと納得できた。
「戦の稽古により、炭が焼きたいばかりに脱走したんだな。」と言った。
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それから半年が経ちました、戦争が終わりまして、村の衆は切り干し芋や吊し柿やニワトリや卵を取られたことを忘れてもスッキリした。
「もうしばらく、隠れ通しても死にたくはないから、山仕事がいくらでもできる。」と、脱走兵には申し訳ない気持ちでした。
  (おしまい)
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