宇佐美長元の娘、称野原の方、明智美津、鳥田武通夫人、小場の方(新春歴史水着クイーンスペシャル2)

久貝正俊夫人の宇佐美長元の娘が若い男。
小場宗義の娘、戸村義国夫人の小場の方が雪まみれの村人。
清水景治の娘の称野原の方が爺さん。
明智光秀の娘、今西春房夫人の明智美津が爺さんの孫娘。
杉元相の娘の鳥田武通夫人がおもちゃを持つ子供。


「大の字のキジ馬」
(熊本県人吉市の昔話)
むかし、人吉の藍田村(間町)に、細工好きな若い男がおった。
男は畑仕事の暇な時に木や竹を削ってかごに手箱など作っておった。
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ある時、男は大塚(大塚町)へ細工物の木を探しに出かけ、その帰り道でのことでした。 道端で遊んでいる子供がキジの形をしたおもちゃに紐をつけて引っ張ってるのを見た。キジ馬2.jpg
男は思わず夢中で、「おい、ちょっとそのおもちゃを見せてくれないか。」というて、手にとって眺めました。それは樫の木をナタで削った胴体に松の木を輪切りにした車を付けただけのおもちゃでした。だが、胴体のそり具合といい削り後といい、キジのような美しい姿でしたが、よくあらわされておった。
「ところで、何のおもちゃというのか。」
と尋ねると、「これか、キジ馬というんだ。」という。
「誰が作ったのか。」と聞くと、子供は、
「あそこの爺ちゃんが作ったよ。」と指をさした。キジ馬3.jpg
細工好きな男は、このまま帰る気はなく、子供の指示どおりの家をたずねると、その家は木地師の家でした。木地師とは、木で作った椀や箱の職人のことだ。
子供の持ってるキジ馬を話すと、「ぜひ、おらにもキジ馬の作り方を教えてください。 と頼みました。
男の話を聞いた爺さんは,「わしは、ろくろ挽きで、おもちゃは作ってない。」と言った。
だが、キジ馬の美しさにとりつかれた男は、
「爺さんのろくろ挽きでも何でも手伝いますから、どうか、おもちゃ教えてくださるため弟子にして下さい。」と、頼み込んだ。キジ馬4.jpg
とうとう爺さんが 、「そうまで言うならお前の気の済むまでこの家におるがいい。わしと孫娘の二人だけだがら、誰に遠慮もいらんでのう。」
と、弟子にしてくれました。キジ馬5.jpg
男は、毎日よく働き、ろくろ挽きの手伝いをしたり、市場へ売りに行きながら、その合間にキジ馬の作り方を習った。
男は、みるみるとキジ馬作りの腕を磨き、爺さんに負けないよう頑張った。キジ馬7.jpg
爺さんは男の熱心さに、「この男はいい木地師になるかもしれない。ゆくゆくは,わしの孫娘を嫁にして、わしの後継ぎするしかない。」と期待が膨らんた。
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爺さんは、樫の木の他にネムの木やカシワの木やキリなども、キジ馬の胴体に使うことにした。また、米粉をとぎ、白絵の具を作り、キジ馬に下塗りして、それを乾燥に、草や木の実からしぼり出した黄色、赤色、緑色で、キジに色付けして、鮮やかな色になりました。キジ馬8.jpg
男が大塚に来てから、3年目の春、全部自分の作ったキジ馬を箱に入れ、人吉の町に開かれる春の市に売りに行った。
町人たちは、なんて美しいキジ馬に驚き、子供のいい遊び道具として、大変売れました。キジ馬9.jpg
そしてもう、男は一人でやっていけると思ったのだろうか、そのまま藍田村の我が家へ帰ってしまいそれっきり大塚へは帰れなかった。それからは男は、毎年開かれる春の市にキジ馬を売りに行った。1年、2年と経つうちに,その形の素晴らしさと色の素晴らしさは、町人たちの大評判でした。
初めて生まれた男の子は、キジ馬を買ってやることが昔からのならわしになりました。キジ馬10.jpg
そして、何年かが過ぎ、雪の降る寒い夜のことでした。男が来年の春の市を備ええるためにキジ馬を作っていると、「わしは大塚から来たんだ.。」と言いながら、一人の男が雪にまみれて入ってきました。 「あんた、大塚のろくろ引きの爺さんのところにおったという人じゃないか。」「はい、そうなんですけど。」「実はな、その爺さんが昨日倒れてしもうた。 お前さんのことをうわごとのように言うてのぅ。」「あの爺さんがー。」男は、ハッとした。男は続けて言いました。
「村人たちと話し合って、できることなら、爺さんの息のあるうちに、お前さんの目だけでも合わせてやりたいと思うて、やってきたが、一緒に大塚へ行ってもらいませんか。」
「行くどころはありませんか、一度たずねても、黙って家から抜け出すことできないのは申し訳ないが、いつも思っております。」キジ馬11.jpg
男は、棚の上のキジ馬をふところに入れると、支度もそこそこ家を出た。
二人は急いで雪の山道で走った。キジ馬12.jpg
だが、二人が家に着いたときには、爺さんがもう死んでしまい、男は声をつまらせて、
「爺さん、長い間、おらが黙って家へ帰ってしまってことを許してください。申し訳ございませんー。」と、冷たくなった体の爺さんに謝りました。そして、ふところからキジ馬を出した。
「これが、おらのキジ馬ですので、じっくり見てください。」
と、爺さんの顔に近づけた。村人たちは、美しいキジ馬を感動しました。
男も村人たちも爺さんの顔を見て安心し、きっと笑ってくれるだろうと思い感じ、ささやきました。キジ馬13.jpg
爺さんの葬式を済ませ、男は嫁である孫娘をつれて、藍田村に帰り、幸せに暮らした。
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毎年、春の市に売り出されたキジ馬には、全て大の字が書かれ、それは男は大塚の爺さんの恩を忘れないために大塚の大の字にした。
人吉では必ず、あのキジ馬を大の字が記されています。
  (おしまい)
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